低温調理器としてのヨーグルティアについて
低温調理には以前から興味があったのですが、どう始めればいいかよく分からなかったのですが、以下の記事を見つけました。
ヨーグルトメーカー「ヨーグルティア」が、温度を最高65度まで保つことが出来、低温調理に適している!これは良さそうだと思い購入しました。ヨーグルティアが届いてからしばらく低温調理に使ってみて、気がついたことを書きます。
加温について
ヨーグルティア公式サイトには、設定温度の性能として「25℃~65℃ ±10%」と書かれています。±10%というのはかなり大きな値で、例えば65度に設定した鶏むね肉が71度まで加温調理されてしまうと間違いなくパサパサになってしまうでしょう。
そこで自宅のヨーグルティアの内部温度を計測して、設定温度に対してどの程度差があるのか調べてみました。ヨーグルティアの容器に水を1リットル入れ、設定温度を低温調理で使用することが多そうな60度と65度に設定した場合を計測しました。
どちらも設定温度に達するまでには3時間以上かかっています。これはヨーグルティアのヒーターの出力が弱いことが原因でしょう。低温調理の専用機器であるAnovaは800Wのヒーター出力でパワフルですが、ヨーグルティアの出力は25Wです。このことは食中毒菌が繁殖しやすい20度から50度の温度帯をゆっくり通過させることに繋がります。ヨーグルティアで低温調理をする際には、60度程度のお湯を入れて調理開始するのが良さそうです。
保温について
内部の温度は一旦設定温度に達してしまえば±1度ほどを保っています。設定温度に達してからの様子を詳しく見てみます。
青線が測定値、黒線が移動平均を取った値です。区間は周期的な変化ができるだけ消えるような値を選びました。平均温度は設定温度から+1度未満とかなり正確です。短時間の変動は気にしなくていいのか?と思うかもしれませんが、オライリーの「Cooking for Geeks」にはこうあるので大丈夫ではないかと思っています。
本当に大事なのは、正確に温度をコントロールすることなんだ。長時間にわたる正確性が重要だ。何日もかけて肉を調理するとき、ゆっくりと温度が変動してしまって調理しすぎになってほしくないからね。でも、短時間の揺らぎは肉の一番外側にしか影響が及ばないから全然重要じゃない。華氏で1度か2度のふらつきがあっても、平均温度が一定ならば全然問題ないんだ。
ちなみにAnovaは設定温度からの変動が0.01度に収まるそうです、凄い。
Specifications - Anova Culinary
実際は0.5度ほどあるようですが、ヨーグルティアよりは格段に高性能です。
設定温度について
低温調理でどの温度なら安全か、というのはとても重要です。間違えれば食中毒菌を増やすだけです。よく聞くのが63度30分の加熱です。この温度についてまとめられた記事があるので参考になります。
しかし、食材によっては63度では火が通りすぎてしまうようです。例えば鶏胸肉ではパサパサになってしまいます。そこで63度より低温、かつ30分より長時間加熱することで美味しく安全に鶏胸肉を調理することを調べてみます。
鶏肉の食中毒で有名なのはカンピロバクターです。カンピロバクターは65度で死滅することが知られていますが、時間をかければもう少し低い温度でも死滅するとのことです。
他にも様々な食中毒の原因となる菌が存在しますが、先ほどの「Cooking for Geeks」では「食品を2時間以内に58度以上の温度にして、パスチャライズ(細菌の数を減らす)されるだけの時間、その温度に保っておくこと」という規則が示されています。鶏胸肉では内部温度を60度30分を保つようにとあったので、私は60度設定で2-3時間ほど低温調理しています。しっとりとして、とても美味しく出来上がります。
以上ですが、人に振る舞うのはちょっと怖いので自分だけで食べています。